三重県津市O様「平屋?2階建?」広い納戸がある中二階の「ちょい和風」の家
作業・施工内容
平屋の小さな家でスタート・・・
O様は、建て替えのお客様でした。高齢のご夫婦とその娘さんの3人暮らしで平屋の小さな家が希望ということで打ち合わせが始まりました。
プランの打ち合わせは、2020年12月より始めて2021年3月までに要望を聞き7プラン程提案させていただきました。
がしかしプランを進めていく中で3LDKの38坪と、それなりの大きいさのあるお家となりました。
O様のこだわりとお家の特徴
【広い納戸】
このブログの表題ともなっていますが、9畳の大きさの納戸があります。
この納戸の上は寝室になっていて、通常2階の階高は、2800㎜程度ですが、この寝室までの階高は1665㎜と低くなっていますので、必然的に納戸の天井高は低くなっていて、この建物が中二階と呼ぶ言われです。また納戸へはリビングより直接アプローチができて納戸への物の出し入れも便利です。
階段は、開放的なリビング階段となっています。
前に住んでいた家の横の車庫の上が納戸になっていたことから、広い納戸が欲しかったようです。
【家族と来客との上り口を分離した玄関】
玄関を上がるとすぐ右にシューズクロークがあり、家族はそのシューズクロークを介して、来客はそのまま正面の上がり框より上がるようになっていいます。
玄関をいつも整理された状態を保ちたいとの配慮からこのプランになりました。
【膝の悪い奥様への配慮】
奥様は膝が悪いので玄関・シューズクロークのタイルから框までの高さを150㎜と低くしました。そして将来の車いすを想定して、玄関ドアの開口を広く取り、シューズクロークは車椅子が収納できる広さになっています。もちろん靴だけでなく、傘や杖、コートなどの上着も収納できます。
ポーチの階段の高さも120㎜とひくくして、外部手すりを設けいました。
また、洗濯を干す時わざわざ庭に出なくてもいいようにサンルームを設置しました。サンルームへは、東に面したテラスドアからのアプローチとし、夏のサンルームからの熱気がリビングに影響しないようにしました。
【リビングとDKの空間を分ける可動間仕切り】
不意の来客をリビングに招き入れる時にプライバシーゾーンとなるDKとを分けるために可動間仕切りを取り付けました。
【本格的でなくても座敷がほしい】
もちろん来客の為にとのこともあるでしょうし、仏壇を置く場所としてという理由もあったようですが、やはり和室になじんできた世代なのかなとも感じました。床の間と仏間、座布団を入れる押入、南側には455㎜幅の板間を造りました。
今は、少なくなった真壁の和室で、柱や床の間や敷居・鴨居などの内法材はすべて無垢材で、畳はこだわりの半畳畳です。
【畳の上で寝たい】
打合わせの当初のプランは、高齢のご夫婦ということもありベットを配置できるように寝室を床板としていましたが、以前の家でそうしていたように畳の上に布団を敷いて寝たいとの要望があり、寝室の床は畳敷としました。前記の座敷とは違い畳の敷いてある洋室という雰囲気の寝室です。
そして布団を収納できる物入の中段の高さは、少し低めの700㎜としました。
【絶対に無垢の床板が良い】
今まで住んでいた家の床が合板化粧フローリングであった為、経年劣化によりあちらこちらで床がフワフワする現象がおき、床板を張り替えた経緯から床板は無垢材を使用したいとのことでした。
今回の床板は、檜の厚み30㎜、幅150㎜を使用しました。壁、天井が白を基調としているので、自然な床の木肌が映えます。
床に関することや無垢材に関することに興味のある方はこちらをどうぞ。
「子育てにも良いとされる自然素材の家について考える」三重県で自然素材を使った家を建てたいとお考えの方へ
三重県津市/松阪市:住宅の重視したいポイント/長持ちする家ってどんな家?を考える
【ちょい和風・・・】
少しだけ落ち着きのある家、それが「ちょい和風」
前述の床の檜の無垢板もその一つです。
その他には、南側の軒に無垢材の杉板を使用しました。また外壁は和風の櫛目調で、あまり和風過ぎないように横張としました。
掃出し窓から見える座敷の障子も「ちょい和風」を演出しています。
弊社からの提案
【ひろびろ廊下】
廊下の幅(壁から壁)は、通常780㎜程度が多いですが、O様邸はプラス300㎜の1080㎜にしました。またリビングへの入口ドアの有効開口幅も通常659㎜のところを754㎜の広いドアを採用することで、今は使用していませんが車いすが十分使用できるようになってます。
【便所の配置等の配慮】
便所は、高齢であるご夫婦のすぐ隣に設けました。また将来の在宅介護を想定して少し広い1.5畳で入口開口も大開口建具を使用しました。
【外部通路の確保のために】
南側に玄関がある場合、北側に外部の通路があることが多いですが、この通路、エコキュートを設置することで、通れなくなったり極端に狭くなって通りづらかったりすることがあります。
通路がちゃんと確保できるように建物をえぐってみました。
【メンテナンスを配慮して】
お家の経年劣化は致し方無いことですが、新築を考える時に長期的なメンテナンスにも配慮すると結果的にコストダウンにつながることあります。
特に劣化が進みやすい外装について、提案させて頂きました。
屋根材には陶器瓦を
スレート板に比べると高価ではありますが、陶器瓦を提案させて頂きました。この陶器瓦は今流行りのがルバニュウムの屋根材とはコストがほぼ同じくらいで、最近の陶器瓦は色褪せなどの劣化がほぼなくメンテナンスフリーとまで言われています。
外壁に金属サイディング、破風、鼻隠しにガルバリウム鋼板張りを
外壁材にも色々ありますが、どの外壁材も長持ちするように工夫されています。しかし外部にコーキングを施す工法は、外壁材よりも早くコーキングが劣化するので、いくら外壁材が長持ちしてもコーキングのメンテナンスを行う必要があるのです。
金属サイディングはコーキング処理がないわけではありませんが、窯業系のサイディングに比べると使用料はかなり少ないこと、また破風や鼻隠しにも窯業系を使用するとコーキング処理が発生しコーキングのメンテナンスが早期に行わなければならないことから、今回は金属サイディングとガルバリウム鋼板張りをお勧めしました。
水回りの床には
各居室、共用部分の床は先に記述したようにO様の要望により檜の無垢材を使用しましたが、この無垢材は水にぬれるとすぐに拭き取らないとシミになってしまうことから、水回りには向いていません。ですから、キッチン、洗面脱衣室、便所にはクッションフロアのストロング(硬質)を使用しました。このクッションフロアは通常のそれよりも厚く、表面が硬いので傷がつきづらくビニール系なので水にも強く、汚れを拭き取ることが容易にできることから、お勧めしました。
メンテナンスをもっと知りたい方はことらをどうぞ
新築をお考えの方も既にお家をお持ちの方も知っておきたいお家のメンテナンス
津市/松阪市 住宅のコストダウンに関するあれこれ/ローコスト住宅を考える
終わりに
令和3年9月24日から着工した当該工事は、令和4年3月26日の引き渡しの日まで長きに渡っての工事となりました。
「引っ越しは暖かくなってからで良い」というO様のお言葉に甘えただけがそうなった理由ではありませんが、この工事に関して「じっくりと仕事をさせてもらったなぁ~」という印象です。ひたすら地道で果てしなく思えた檜の床張り、どこまでを良しとするか引き際を探しあぐねながらの床の間地板の取付、などなど・・・いろんなことが思い出されてきます。
引き渡しが近くなって来た頃、もうこの現場に通うことはないのだと少しだけ寂しくも感じました。でも引き渡し日にO様家族の嬉しそうな顔をみると、もともとこの家は、O様の家族の家なんだなぁ~と改めて感じました。
この家がO様家族にとって素敵な家となることを心より祈って・・・